治療体験記 vol.30
『カイロという希望に出逢えて』
私は、20代後半で結婚しました。まだ若かったし、お互いやりたい事もあり、またその気になれば、いつでも子供は出来るものだと思っていたので、あえて子作りには専念してきませんでした。
そして30代になると、さすがに周りから「子供は、まだなの?」「そろそろ、いいんじゃない?」など言われ始めてきて、夫とも相談をしてそろそろ子作りに専念することにしました。最初は、夫婦が仲良くしていれば、子供には何不自由なく恵まれると思っていたので、ワクワクドキドキでした。それが1年経ってもなかなか恵まれず、「あれ?こんなにも出来ないものなの?」と思い次第に焦りはじめました。毎月おとずれる生理前の兆候が現れると情緒が不安定になりはじめ、そして「今回もダメだった」と自分を責めるようになりました。だんだんと月日が経つにつれ、夫婦関係もギクシャクしはじめ、胃が痛くなり過度なプレッシャーを感じるようになりました。
そして不妊治療へ通うことになりました。
毎回、不妊治療の待ち時間に半日を費やし、いざ診察になるとお医者さんは大変お忙しそうにしておられ半分聞いて半分聞いていないような感じで、次々と人数をさばいていくといった感じでした。5分も満たない診察に望みをかけて、「明日が当たり日ですよ」と言ってくださる先生の言葉が神様のように感じられ夫婦で人工授精を10回がんばりました。そして、お医者様から「いや〜こればっかりは医者でも分からない世界だからね〜もうそろそろ年齢もきているから、次に体外受精をしようか」と言われました。やっぱりこの時が来てしまった・・と夫婦とも、言葉では表せにくい複雑な思いでやりきれなかったのを今でも覚えています。そして主人から「不妊治療は、男性より女性の方が負担とリスクが大きすぎる、ごめん、思いつめさせて」と言われ、「もういい、これ以上やらなくてもいいよ」と言ってくれました。しかし、そんな優しい主人に子供を見せてあげたくて体外受精の決断をすることにしました。