心身の疲れと治療
『上手な個性の伸ばし方』
― 小児医療の専門医に聴く(発達偏) ―
2月10日(日)大阪にて小児科医で神経発達症の専門医である上田医師とお会いし、数時間にわたり『上手な個性の伸ばし方』についてお話をうかがう事が出来ました。
当院にも子供さんの成長過程において、悩んでおられる親御さんは沢山おられます。実は私自身も子育てを通し、我が子が見せる「特性」には多くの事を学ばせてもらっています。特にお母さんは子供さんと距離が近いぶん悩みも深く、不安と共に生きておられる方が多いと思います。そういった、親御さんの希望に少しでもなれればと思います。
幼稚園や学校等で「普通とは違う」と指摘され、早期発見、早期教育をすすめられるが戸惑っている。一生懸命子育てに取り組んでいるが周りには、わがままに育てていると言われ孤独感に陥っている。お子さんの強い個性ゆえ育てにくさを感じ、子供の将来が不安でたまらない。
今回のお話はいわゆる「グレーゾーン」もしくは診断はついたが、医療的行為の介入が要らないお子さんのお話になります。今回、「神経発達症」の専門医でもある上田医師に私なりに思っている疑問を尋ねてみました。すると、意外な答えがいくつか返ってきました。
例えば、子どもの「自閉症」、「アスペルガー症候群」というものがあります。自閉症とは、3歳までに現れ、 @他人との社会的関係の形成の困難さ、A言葉の発達の遅れ、B興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とするとあります。
そして、テストでは、「おもちゃの車を自由に並べる」というのがあります。「もし一列に縦にきれいに並べると」自閉症の疑いとなってしまう場合もあるようです。
が、上田医師もここを強く仰っておられたのですが、「3歳くらいでこの子の将来を決めつけるのはおかしい。医師も本来わからない」人間だれしも多少なりともこのような傾向をもっており、それが多いか少ないかだけで、「むしろ、その子の個性だと思ってください。そして良い部分をどんどん伸ばしてあげてください。親や周りの先生や大人がそう信じて伸ばしてあげることが何より大切です!」
実は、「神経発達症」の定義は、医師の中でもいまだに様々で、【医師の見解や判断が確立されていない】以上、【学校の判断】や【行政】の判断は、もっと混乱しているのが現状だと仰っておられました。そして、大人になっていく過程で、かなりの方は改善されていく場合があります。
また、医師の約2割くらいは、もともとアスペルガ―症候群の方がおられるとも推測されており、研究者の中にはもともと自閉症の傾向の方も意外と多いと聞いております。要するに、ただマイナスに捉えるのではなく、「ある方面に抜きん出ている!」と捉え、たとえ、医師に診断されても、あまり気にしない方がよく、【本人の個性を上手に伸ばしてあげることに専念して信じてあげることが何より大切】 だと強く感じた非常に貴重な対談となりました。
共にがんばってまいりましょう。