カイロプラクティックさかいニュース
『当院と病院とでは役割が全く違う』
― 海外から急遽帰国 アスリート生命を救う治療法 ―
『医大病院からのご紹介』
先日、知り合いの病院の先生よりお電話があり「世界で活躍するアスリートの患者様が足を痛めており、検査等したが異常はなく原因が分からない、更に約一カ月で海外へ戻らなくてはならず、それまでに何とか酒井先生の方で治療をして頂けないでしょうか」という内容でした。
その患者様は、アスリートとして一番重要でもある足を痛められ、練習どころか日常生活に支障をきたす程の症状で、緊急帰国されておりました。
半年間、医大をはじめ様々な病院の整形外科・アスリート外来・婦人科等であらゆる精密検査を受けたそうですが、【レントゲン、MRI、筋電図、血液検査等全て異常なし】… でも痛みが全く取れず、苦しんでおられたという事でした。
海外では私のように、国際基準の資格をもったカイロプラクティックの先生はDC【ドクターオブカイロ】という医師とほぼ同等の資格が与えられ病院と連携して身体を総合的に治療する仕組みになっています。
ですので今回のケースもそうですが、いつも患者様の為を思って様々なドクターの方々が当院へご紹介を下さいますのを、同じ医療人として、非常に感謝致しております。
『可動触診で痛みの根源を見抜く』
実際に診察したところ、競技上、生命線ともいえる、足の甲を痛めておりました。また、一ケ月で海外に戻らなければならないという焦りもおありで、メンタル面でも充分なサポートが必要と判断致しました。そして、ご家族様もご本人も藁をもすがる思いで当院の治療に懸けていただきました。完治までの道のりを一部ご紹介いたします。
私の診立てとして大きく分けて3つの方向で治療を進めていくことにしました。
1. 実際に痛めている足の甲の治療
2. 痛みを増幅させている【大脳皮質】に行く信号を減少させていく治療
3. 婦人科に関連する「副腎の機能」を最大限に高めていく治療
1. 実際に痛めている足の治療
まず、1つ目である主訴の足の甲を診させていただいて、可動触診したところ、第二【楔状骨(けつじょうこつ)】※(足の甲は、第一、第二、第三の三個の楔状骨からなり、後方は舟状骨(しゅうじょうこつ)に、前方は中足骨(ちゅうそくこつ)につらなる)と、【舟状骨(しゅうじょうこつ)】との関節部分でハイパーモビリティー(過剰運動)が起きていることが判明いたしました。
更に、前方の中足骨の関節部分ではハイポモビリティー(可動制限)も起きており、この部分で明らかに痛みが起きているという事が分かりました。
そして、この痛めている部分をかばう為、ふくらはぎの横にある後脛骨筋(こうけいこつきん)と長腓骨筋(ちょうひこつきん)(※この2つの筋肉は副腎の関連する筋肉です)に負担がかかり、股関節を支える中殿筋(ちゅうでんきん)にまで影響して、腰の痛みを発症するという状況が生まれておりました。
2. 自律神経の信号の命令を切り替える治療
この患者様の場合、痛みが発症してから既に数カ月が経過していましたので、痛みに対する脳からの信号が通常より何倍も増幅している状況となっておりました。
ですので、主訴である足の甲の治療をした後に、この痛みに対する自律神経の信号の命令を減少させていく治療も同時に行って参りました。
【痛みが起きるメカニズム】
痛み【体性感覚刺激】を感じる伝導路は
⇒ 【脊髄後角(せきずいこうかく)】⇒視床下部【高次脳中枢(こうじのうちゅうすう)】⇒【大脳皮質】へと伝わっていきます。
しかし、痛みが伝導された後は、通常、人間の体の仕組みで、抑制機構も同時に働き、いつまでも痛みが続かない仕組みにはなっています。
ポイントは、【脊髄後角】の部分がいわゆる痛みの【関所】になっているわけです。
つまり、痛みの事をずっと心の中で悩んでいたり、ストレス等で気が休まらない状態が起き続けていると、この【関所】は開き続け、痛みは元の痛みより何倍にも、何十倍にも増幅していってしまうのです。
逆に、全て治療する側にお任せいただき、痛みの事は忘れるくらいに安心して、リラックス出来ていますと、この【関所】は閉じ、結果、痛みの程度が緩和方向へと向かいやすくなっていきます。当院ではこの治療法は既に行って参りましたが、この仕組みが最近の最先端医療の分野で解明されるようになりました。
痛みをゲートでコントロールする仕組み
3. 婦人科系に関係する副腎の機能を最大限に高める治療
3つ目になりますが、女性アスリートとして非常に大切な部分とも言えますが、この患者様の場合、当院で行う内臓の検査及びハムスト検査でもかなり副腎の機能が低下していることが分かりました。
これは女性ホルモンのバランスだけではなく、姿勢を保つときに重要な腸腰筋(ちょうようきん)、脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)などの筋肉の筋力低下が起きやすくなっていることも意味します。
1カ月半と限られた期間ではありましたが、副腎機能を最大限高めていきました。
【副腎機能低下を実証するハムスト筋の筋力テストの仕方(正常は10回以上)】
下向きで、太ももの裏の筋肉(ハムストリング筋)の筋の持続性を測る筋力テストをすると、正常な方は、20回も30回も普通に筋力が落ちずに維持されます。
しかし、副腎機能低下がある方は4、5回でスト−ンと筋力が落ちてしまい検査が出来なくなってしまうのです。
これは、筋肉の中のATPの量を測るテストです。無限に供給できる状態か、限られているかの差になります。スポーツをされておられる方は特に、このATPが供給されているか否かで結果が大きく変わります。
≪正常≫20〜30回
≪異常≫4〜5回
『この療養期間をプラスに考える』
この3つの観点を総合的に考えながら治療を行っていった結果、足の痛みは治まり、練習も再開し、難関だったジャンプをしても痛みを感じない程までに順調よく回復していきました。またこの辛かった経験がアスリートとしてとても貴重な経験である事を治療の中でお話しさせて頂きました。
いよいよ海外へ戻られる前日の治療では、お母様が涙ながらに「もう選手生命が終わりだと覚悟をしていました」と話され、ご本人も「今度日本に戻ってくるときは、例え、症状がなくても当院に来たいです!」と笑顔で仰っていただいたのがとても印象的でした。
今回のような痛みの原因は、MRIやレントゲンの静止画像には写りませんので、結果、病院では痛み止めと湿布等の対症療法で経過観察になる事が多いと思われます。
海外では、国際基準の資格を持つカイロプラクティックの先生がなぜ病院内に入っているかというと、これらから分かるように役割が全く違うからなのです。そして、お互いに連携し合って、患者様の症状の改善に向けて治療にあたっているのです。
現時点で手術をしなくて済む状態であっても痛みを我慢したまま、経過観察をしているうちに、いずれ症状が悪化し手術を余儀なくされる事例は後を絶ちません。
当院の最大の強みは、MRIやレントゲンなどの静止画像だけでは判断がつかない「痛み」に、カイロプラクティックの検査、神経学検査、整形外科学検査、筋力検査、触診、可動触診等を用いてあらゆる角度から一つの症状を考察し、原因を見抜き、完治に導くところにあります。