カイロプラクティックさかいニュース
『東京大学名誉医学博士の大島正光先生(医師)との出逢い』
― 人間の身体は複雑な構造で出来ている ―
WFCカイロ世界大会表彰
Dr.Yoshihiro Sakai
◆【私の原点】
1998年、日本で初めてカイロ世界大会(in TOKYO)が開催され、私は役員を務めさせて頂きました。そこで大会会長を務めておられた「東京大学名誉医学博士の 大島正光会長(医師)」(1915年−2010年)と(人間の心と身体の関連)についてお話をさせていただいた事がございます。
この大島正光先生は皆様もご存じのノーベル化学賞受賞者の野依良治氏の義父にあたる方です。当時、大島先生に「私は患者様を診させてもらうときに、身体的な側面からの治療と精神面からの治療=「感情が及ぼす内臓、神経系への影響、 その関連する筋肉」があり、人間はこの二つの側面からの構造で出来あがっていること。
そして、その両方の側面から治療をすることが出来る事についてお話をさせて頂いたことがありました。
大島先生は、「酒井先生が本当は正解です。ただ世の中がこの事に気が付き理解し、医学的に追いついてくるのには後50年はかかるでしょう」「是非、この研究を根気よく進めて世の中のお役に立たれて下さい」と言われたことを今でも覚えており、この御言葉は私の治療の原点にもなり、原動力の一つになっております。
それから25年間15万人以上の患者様に治療を施し、その一方で更に深く研究を致して参りました。
先日、知人の医師の先生からご招待を受け「日本慢性疼痛医師学会」に出席させて頂きました。そこで学会のテーマでもある慢性疼痛を引き起こす最大の原因は、「脳の誤作動というメカニズム」との事でした。
◆【私の研究】
長年の私の医学的な研究では、上記にある慢性疼痛にみられるような脳の誤作動は確かにあります。しかしそれだけではなく、精神面にまで影響が及んでしまっている場合、レントゲン、MRI等には写りませんが、心身の痛みの発痛点、(人間の体には頭の 上方から会陰部にかけて常に流れている7つの渦上の発痛点があります)のうち必ずどこかの部分でクローズ(閉)されてしまっている事が分かりました。
この発痛点は、精神面の【感情】と深い関係があり、例えば、悩みやストレス、深く症状の事ばかりを考え過ぎていますと、これは「心身症」と医学的に言いますが、心から体の方へ次第に負荷がかかり、頭の一番上にある発痛点が閉じられ、筋力検査を行うと全身の筋力が抑制され、体全体に力が入らないという状況が起こります。結果、あらゆる病気や症状の引き金となり、更に症状が複雑化してしまう事があるのです。私は治療家として人間の身体を熟知してきた辺りから、こういった「心と身体の相関関係」が更に深く明確に分かるようになってきたように思います。
◆【心と身体の繋がり】
現代人の心の病の要因には、競争社会によるストレス以外に、高齢化社会によって増えたストレスもあります。医学の進歩で平均寿命は長くなりましたが、高齢者には、孤独や家族との軋轢(あつれき)、死への不安といった心の負担や種々の身体的障害がつきまといます。そのために精神的に支障が起きやすくなるのです。
また核家族化が進み、母子の密着の度合いも強くなり、子どものしつけも母親だけに任されるようになりました。それが、複雑に影響を与え、親も子も心の病を増やしているようです。
ストレスがあっても、ある程度は心も身体もそれに耐えることができます。ところが、あまりに間断なく刺激が続きますと、最後には、元の状態に戻ろうとする身体の動きが阻害されてしまいます。衝撃に強く、強力性のある金属の柱も、一定以上の力が加わればポッキリ折れます。
それと同様に、ストレスが過剰になってきますと、心も身体もついに耐えられなくなり、その結果として心の病に侵されてしまうのです。
このように、心と身体の間には、切っても切れない「相関関係」があり、四六時中、身体は心に、心は身体にと影響を与えあっています。あるときは身体が、あるときは心が主となるという具合です。
従って「心の中に雑念(=様々な捕らわれのある思い)」を溜め込んでいますと、それが『病気をつくる原因』となってしまうことが実際にあるのです。またストレスが積み重なり、やがて「鬱(うつ)状態」になってしまう事もよくある話です。
健康には「身体と心の関係がよい状態にあること」と、それを支える「よい生活環境、よい生活習慣」のあることが最も大事になってきます。
◆【予防医学の時代】
現代医学(西洋医学)は「体」の部分のみに照準を合わせて発展してきた学問と言えます。そういった歴史的な背景がありますので、最初から「心」の部分は切り捨てで、片手落ちになってしまっているのが現状です。「薬」や「注射」「手術」なども勿論必要ですが、どうしてもこれは対症療法となってしまい、人間の真の健康を考えたときには限界があります。
西洋医学的な対症療法をするだけではなく、西洋医学が苦手とする部分をカイロプラクティック【全体根本療法】や予防医学の考え方を取り入れていくことで、患者様自身の自然治癒力をより高めていくことが何より大切かと考えます。
これからの時代に必要なのは「未病を治す=予防医学」や「健康増進」という観点です。